先日、北京人民芸術劇院で舞台を見てきました。18年ぶりの再演という作品、《ケイン号の叛乱》です。法廷の中での出来事を芝居にしているので台詞が中心。
軍事裁判にかけられた海軍の軍人を演じたのは、大陸ではとっても有名な馮遠征さん。この方の独特の風貌、そして演技力は高く評価されています。私も尊敬する俳優さんの一人です
感想
台詞が中心で、台詞だけでキャラクターを表現していかなきゃいけないので、役者の力量が明らかになる役者泣かせの脚本。でもそれだけやりがいはあるなぁと思った。法廷に入ってくる姿と去っていく姿、それ以外は座ってなきゃいけない。そして詰問される内容にいかに答えていくのか、ここにキャラクターを表現しなくちゃいけない
私が観劇させてもらった日は、舞台の初日(いわゆる内部公演)。なので、どの役者さんもやはり多少緊張している雰囲気。
主役の馮遠征さん、第一幕目の飄々とした雰囲気から、第二幕で徐々に神経質になっていく演技が面白かった。彼が軍事裁判にかけられ、原告側が彼は精神異常であるという事を主張、最終的に彼は軍人としての冷静な判断力がないと審判されるので、演技としては第一幕の冷静な彼と、第二幕目の豹変振りに差がある方が分かりやすい。
ただ、一つ気になったのは、法廷の中のその他の人達(たとえば裁判官、弁護士など)の演技がちょっと力が入りすぎているような気がした。変貌していく彼を目の前にして、助けようがないという表情をする弁護士さん・・・人間味に欠けるよなぁって思う。たしかに台本ではそうなっているのだろうけど、第一幕で彼が冷静なときはすごく自身ありげに話してたのに、急にお手上げ!って顔するのはどうなんだろう。その辺に人間が出てくるんだから!!って思った。そして台詞が常に詰問口調なのもどうかと思う。主役と直接話せる数少ない役なんだから、もうちょっと緩急あった方が、主役を生かせるのではないかなぁ
後は裁判官役が、思いっきり中国人だった。
これは見ていただくしかないけど、外国人の目から見た中国の高級幹部!って感じがしました。とてもアメリカ人ではないなぁ・・・と。
そしてやっぱり昂揚しすぎな気がした。だから中国人に見えたのかな・・・
男性しか登場せず、しかも皆軍服
珍しいお芝居で、ストーリーは面白いと思いました。原告と被告、そしてその弁護士のやりとりがとてもスリリングだった。中にはちょっとコミカルな部分もあり。
15日間公演があるそうなので、北京にお住まいの方はぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか?台詞劇なので大変なのですけど・・・
この日は18年前の初演時に主役を演じた朱旭さん(《大地の子》で中国人のお父さんを演じた役者さんと言えばいいでしょうか?)がいらしてました。バックステージでお会いしたんですが、ゆったりとした口調でお話しなさる姿は相変わらずでした。
余談ですが、朱先生、実はすごく背が高い方なんですよ!馮遠征さんにしてもすごく痩せて見えるし、お顔が小さいから背もそれ程高くないだろうって思うんですが、いやいや。馮遠征さんも180センチはあるし、朱先生はそれ以上!
大陸でも北の方の人達がいかに背が高いか・・・
私もここではそこまで大きいと言われないですしね
(日本人にしては大きな方だろうとは言われますが・・・)
ほぅ。久々にまともにブログを書いたような気がします。。。
久々に舞台を見たし、いい気分でございます
やっぱりヨカ!芝居は!!